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2006年5月15日 (月)

コラム「中之島」

▼「国の恥ニートをなくす政策。それはズバリ、徴兵制や」と著名な戦場カメラマンが週刊誌で叫んでいた。学生でないが働いていない、職業訓練も受けていないという意味の英単語の頭文字「NEET」の若者たちは、今や大衆の憎悪を一手に引き受ける"人民の敵"と相成った

▼その数八十五万人。怠け者の性根を叩き直せ式の居酒屋談義が沸騰し、裁判員制度のアンケートでは、市民の二五%が、「被告が少年なら重罪に」と回答した。だが、少し立ち止まって考えてみよう。何もかも彼らが悪いのか?

▼歴とした若年失業者や、定職に就きたくても就けない「フリータ」までもが一括りで語られる結果、雇用情勢の悪化や階層間格差の拡大などの諸問題が隠蔽され、陳腐な自己責任論や家族論に回収されてしまった点が、問題であり過ぎる。真っ当だった議論が歪められ、権力に絡め取られていくメカニズムの恐怖

▼一昨年暮れ、自民党の武部幹事長が「(若者たちも)自衛隊に入り、サマワみたいなところに行けば、三ヶ月で(人間性が)変わる」。理解できない存在を十把一絡げにして、その生殺与奪の権まで握った気でいる傲慢。酔っぱらいの戯れ言以下の強権政治に、これ以上は騙されまい。私たちは何も知らされていないのだ、という認識から出発しよう。


コラム「中之島」 
【 大阪市労組 第338号-2006年5月1・15日合併号より 】

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