第78回メーデーインタビュー 団結の力で安心と希望の社会を ~労働ビッグバンをはね返そう~
安倍内閣の下で進められる労働ビッグバン。8時間労働をはじめとする働くルールが根底から壊されようとしています。19世紀末、8時間労働を求めた労働者のたたかいがメーデーの起源。メーデーを前に日本労働弁護団の鴨田哲郎幹事長にお話しを聞きました。
日本労働弁護団 鴨田哲郎 幹事長
安倍内閣が発足した昨秋以後、「労働ビッグバン」が叫ぱれ始めました。この中身についてはまだ派遣労働の完全自由化以外、具体的にはされていません。
しかし、規制緩和の旗ふり役を努める内閣府・経済財政諮問会議の八代尚宏労働市場改革専門調査会会長(国際基督教大学教授)らの著書には、ビッグバンの狙いを知る手がかりが書かれています。
彼らは労働法の解雇規制が格差を生む原因と考えます。既得権を持つ正社員は雇用が守られているので、経営者は国際競争に対応するためにコストを抑えようと非正規労働者を雇わざるをえない。だから格差をなくすには、保護されている正社員の首を切りやすくするように、解雇規制そのものをなくしてしまえというのです。
日本の労働法は客観的に合理的な理由のない解雇は認めていません。労働法制の根幹がビッグバンの主要なターゲットの一つになっているように思います。
団交権の制限まで
昨年末スタートした同専門調査会では、解雇規制の適用を受ける人と受けない人などさまざまなタイプの労働者をつくることや、正社員の賃金・労働条件を非正規労働者の水準に引き下げることで格差をなくそうという主張が展開されています。
実態は派遣労働なのに請負を装う違法な偽装請負についても、派遣先であるユーザーの必要にこたえて合法とするような法整備が提案されました。
内閣府の規制改富丁民間開放推進会議(現。規制改革会議)では昨年禾、少数組合の団体交渉権を制限する意見まで出されています。
狙いは米国側法制度
これらの動きをみると、日本の労働法制を米国型に作り替えることが労働ビッグバンの狙いであるといえるのではないでしょうか。
エグゼンプション制の導入で、実労働時間を一切規制せず何時間でも働かせ放題の米国の公正労働基準法に日本の労働基準法を作りかえ、従業員の過半数の支持がなけれぱ団体交渉ができない米労使関係法に労働組合法を変える。最終的には解雇の自由化をめざしています。
米国では雇用形態を規制する法律はありません。派遣であろうと事業主契約であろうと、どんな契約でも労働者が合意すれぱオーケー。働くものの権利が理不尽に奪われても国が介入するすべはありません。労働契約法制などを審議した厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で「過労死は自己管理の問題」と言い放った奥谷禮子氏が言う「労働基準監督署の必要のない世界」です。
わたし達はエグゼンプション制導入を先送りさせました。これを機に働くルールの整備を進めることが必要です。ここで手をゆるめるのではなく、エグゼンプション導入のたくらみを根絶やしにし、その後にひかえる解雇規制の緩和は許さないという大きな運動を組織するスタートにしたいものです。
第78回メーデー 団結の力で安心と希望の社会を ~労働ビッグバンをはね返そう~ 【 大阪市労組 第352号-2007年4月20日号より 】 |
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