« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »

2007年8月 1日 (水)

健康破壊の成果主義賃金の導入は見送るべきでは ~市労組連が質問状~

給与構造改革による成果主義の導入について

  市当局は給与構造改革の総仕上げとして、「成果主義との賃金リンク」を提案しています。市労組連が市長に対し質問状を提出したところ、このほど総務局長から回答が届きました。残念ながら誠実な回答とは言えません。
 私たちは職員の中でのオープンな議論を願っています。ぜひ皆さんのお声をお寄せください。

1.大阪市職員の健康問題は「危険水域」に達しています。

厚生労働省が、本年5月に昨年度の労災補償状況の発表を行いましたが、労災請求件数・認定件数の増加について、とりわけ精神障害の急増の原因については「長時間労働と成果主義の浸透が影響している。」と述べています。

人事評価と賃金をリンクさせることが、職員の健康問題をさらに深刻化させることになることは明らかです。これ以上の健康破壊を防止するため、成果主義の導入を見送るべきではないでしょうか。

(回答)
平成18年度から実施している新たな人事評価制度の目的は、地方分権の市政運営において、社会状況の変化に伴い、ますます複雑多様化する市民ニーズに柔軟かつ的確に対応すべく、職員一人ひとりがその能力を最大限に発揮するために、人材の育成を行い、その活用を図ることにあります。

勤勉手当の成績率や勤務実績に基づく昇給制度については、頑張っても頑張らなくても処遇が同じであれば、職員の士気向上につながりにくいことから、人事評価制度の目的である人材育成への動機付けとして考えているものであり、制度の導入が過度な労働を強いて健康被害につながるものとは考えていません。

2.これまでの交渉で、当局からは成果主義賃金の導入によって「職員のモチベーションはアップする」との説明が繰り返されてきました。

しかし、経済協力開発機構(OECD)による「世界の公務員の成果主義給与」では、「職員のモチベーションの向上は、業績給導入の主な理由であった」が、導入後に、「プラスの成果として職員のモチベーションの向上を報告した国はあまりなかった」と報告しています。

また、日本に民間企業においても企業経営者から「成果主義が導入されるにつれ、社員はやる気を失っていった」などとの発言が飛び出しています。

当局が2006年12月に実施した「人事評価制度にかかる職員アンケート」の結果においても、制度の導入について、「チームワークが乱れる。公務にはなじまないし、民間ではすでに破綻している。」とした反対意見が353件と賛成の135件を大きく上回っています。
「職員のモチベーションはアップする」という根拠、具体的イメージについて、当局の考えを説明して下さい。

(回答)
民間企業の人事給与制度も多種多様であるため、一概には言えませんが、経済産業省が昨年発表している「人材マネジメントに関する研究会報告書」では、評価結果の本人へのフィードバックや評価者訓練がなされていないなど被評価者の納得性を確保する施策が十分でなかったこと、成果を出すための人材育成機能が低下していたこと、成果主義導入の契機がバブル経済崩壊後のコスト削減にあったこと、などの問題点が指摘されています。

大阪市では、これらの民間企業における問題点を踏まえて、新たな人事評価制度において、評価基準の設定・開示、評価者面談の実施、評価結果の開示、苦情相談制度の構築、評価者研修の実施など、評価の客観性、公平・公正性、透明性の確保に努めるとともに、人材育成基本方針を策定し、個々の職員の能力アップにも積極的に取り組んでいます。

また、人事評価結果の給与処遇への反映は、勤務実績に応じた配分方法の変更であると認識しており、人件費の抑制を目的とするものではありません。

 以上の点から、人事評価結果の給与処遇への反映は、人事評価制度の目的である人材育成への動機付けに寄与するもの考えています。

職員の健康はそっちのけ?

200708_01 職員削減の中での成果主義導入は過度な労働につながらない?!

  別表にもあるように職場の健康はすでに危険水域に突入しています。これほどまでに職員の健康状態は悪化してきているのに総務局長の回答はたった一言、人事評価制度の導入は「健康被害につながるものとは考えていません」と切って捨てます。厚生労働省の見解へのコメント・反論すらないのは、労働時間管理の厚生労働省通達を握り潰してきた姿勢と変わりがありません。職員の健康に責任のある総務局長として、その改善策を我々に示すべきです。   

虚ろに響く「モチベーションがアップする」 

市側は、民間での問題点を踏まえ、改善に努めているとしていますが、会ったこともない人の評価をどうやって行っているのでしょうか?また質問2にもあるように職員の声は「公務にはなじまない」とはっきり断を下しています。昨年冬から課長代理級以上の一時金に成績率が導入されましたが、その結果、モチベーションは上がったのでしょう?


給与構造改革による成果主義の導入について
【 大阪市労組 第356号-2007年8月1日15日合併号より 】

|

コラム 中之島

▼憲法を改悪して、海外で戦争が出来る国づくりを目指す自民・公明が参議院選挙で大敗した。憲法を取り巻く暑い選挙は終わった

▼選挙が終わって8月6日、9日、15日、日本人にとって決して忘れてはならない日がまたやってくる。多くの国民とアジアの人々が、日本の侵略戦争の犠牲となった。私たちが改めて現在の平和について考える日だ

▼首相も出席して戦争の犠牲者、原爆の犠牲者になった国民を始め、アジアの人々に哀悼の意を表明し、不戦の誓いを必ず述べる日でもある

▼その首相が一方で憲法「九条」を改悪し、海外で米国とともに「戦争が出来る国」を目指している

▼安倍首相をはじめとする「靖国派」という人々は戦後レジームから抜け出そうという。彼らが今一番抜け出したいのは、憲法が根付いた、国民の不戦の誓いと戦後民主主義だ

▼今年一月には防衛庁を防衛省に格上げし、憲法の戦力不保持、武力行使の放棄を骨抜きにしようとしている

▼首相には戦争の犠牲になった多くの人々の慰霊碑の前で「憲法を改正して、戦争が出来る国」にするのだと大きな声で言ってもらいたいものだ

▼私たちは靖国派の企みを、九条の会とともに打ち砕き、不戦の誓いを立てた憲法を守るたたかいの決意を、アジアの人々と戦争犠牲者に伝えなくてはならない。


コラム 中之島
【 大阪市労組 第356号-2007年8月1日15日合併号より 】

|

「ボトムアップ」による真の市政改革にとりくみます ~大阪市役所労働組合執行委員長 中山直和~

S 今年の役員改選をへて大阪市労組の執行委員長に就任しました中山直和です。激動の情勢が続き、国民の生活問題・貧困問題が深刻化する中、地方自治体としての大阪市役所も私たちの労働組合運動も、市民と職員の生活と健康、そして権利を守る上で、その真価が問われています。

職場で通常に勤務をしながらの活 動参加でもあり、微力ではありますが気持ちを引き締め、全力でとりくみますので、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

7月末の参議院選挙では、貧困と「格差」に喘ぐ国民から、自民・公明政府による弱者いじめの政治にノーの意思が示されました。

振り返れば、04年の秋から「大阪市問題」が吹き荒れ、公務員バッシングの嵐の中、「郵政民営化」を争点にした総選挙で自民党が大勝したのが、丁度2年前でした。財界が95年に発表した「新時代の日本的経営」という戦略に沿った企業の大リストラ・雇用の流動化によって、国民の中に急激に貧困が進行していましたが、生活苦に喘ぐ国民の怒りを公務員批判に向けさせ、働くもの同士の対立に見事に利用したものでした。

そして、大阪市における長年の労使癒着の「弱点」が格好の攻撃材料にされたことは私たち自身が経験してきたことです。

さて、今回の参議院選挙の結果で、財界が今秋に目論んでいた消費税の引き上げと法人税の引下げが頓挫した意味は大きなものがあります。しかし、憲法9条を守る上では、改憲派が依然として国会で多数を占めており、私たちの奮闘が引き続き求められています。

また、11月には市長選挙が行われます。疲弊した市民の生活の支える自治体本来の仕事をする大阪市政への前進をなんとしても勝ち取らなければなりません。

さらに、人員削減と市場主義的改革の嵐の中で、職員の健康破壊は危険水域に達し、市民サービスを行う職場の体制もトップダウンの「足払い」で崩されています。これらの課題に私たち労働組合が果たす役割は重大です。
住民自治の前進とボトムアップによる真の市政改革のためにとりくみます。みなさんのご支援・ご協力をよろしくお願いします。


「ボトムアップ」による真の市政改革にとりくみます
【 大阪市労組 第356号-2007年8月1日15日合併号より 】

|

平和問題で学習会 早急に認定基準を改めるよう要請しよう

S_2 認定基準を改めさせるよう制度改革を求めて集団訴訟に

市労組は7月17日に平和問題学習会を開催。「原爆症認定訴訟の意義と現状」と題して、近畿原爆症訴訟弁護団の一人、豊島達哉さんに講演をしていただきました。

 2001年の統計では全国に被爆者健康手帳を持っている人は28万人を超えており、これら被爆者の方々のほとんどが様々な病気等の健康被害で苦しんでいるが、原爆症と認定されているのは2000人あまりで1%にも満たないのが現状です。

 原爆症認定は基準が不合理で厳しいことにより、被爆者が最初から申請をあきらめるという事態となり、申請そのものが減ってきており、ますます被爆者に対する救済がなされなくなっています。現在に至るまでに、原爆症認定裁判は個別で行われており、勝訴してきました。しかし国は認定の基準を改めないばかりか、さらなる被爆者切り捨てを行ってきました。そのため個別訴訟では国に制度改革させることができないので、集団訴訟を行うことになりました。

 近畿・広島・名古屋・仙台・東京・熊本で勝利判決が続けて出されましたが、国は控訴しています。訴訟を起こしている被爆者の方々は、自分たちのため、そして私たちのために頑張っています。国に早急に認定基準を改めるよう要請しましょう。


平和問題で学習会 早急に認定基準を改めるよう要請しよう
【 大阪市労組 第356号-2007年8月1日15日合併号より 】

|

シリーズ労安 メンタルヘルス対策は職場診断と予防から

大阪市では平成18年度の在職死亡者数は50人、そのうち自殺者は11人です。精神疾患による90日以上の休職者は226人にもなります。現場の実感はその予備軍を含めるともっと多いのではないでしょうか。

メンタルヘルの問題は、職員の健康問題でさも重要な課題の1つです。職場のメンタルヘルス対策は、うつ状態の労働者のカウンセリングや休職者の職場復帰と狭義に考えられがちですが、それだけでは充分な対策とはいえません。メンタルヘルス対策はこれらのケアとあわせて、長時間労働の対策や人事評価や賃金などの労働環境の改善を車の両輪のようにあわせてとりくむことで、効果が上がり、メンタルヘルス対策が進みます。

そしてメンタルヘルス対策の第一は職員と職場の実態をつかむことです。職場の実態調査を行い、そこで明らかになった職場の労働安全衛生の課題を安全衛生委員会で中心に検討し職場を改善していく必要があります。ストレスとは、原因となる「ストレッサー」とその結果として生じる「ストレス反応」に区別ができます。ストレッサーは長時間労働や人間関係、仕事の裁量性や働きがいなどで、ストレス反応はうつ病などの精神疾患や欠勤、早期退職の増加などです。

職場のストレスの評価は、ストレッサーとストレス反応の2つを評価することになりますが、評価の方法には主観的な方法と客観的な方法があります。主観的な方法は職場の労働者の意見の聞き取りや労働組合の会議での意見交換といった主体的な方法で、労働組合の役割が重要になってきます。客観的な方法としては、既存の厚生労働省の「職業性ストレス簡易調査表」などを用いるということがあります。

 他の職場との比較や経年変化を検討する上で望ましいのではないかと言われています。活用している自治体では調査の結果に基づき、メンタルヘルス対策を実践し、効果を上げていると報告されています。
市労組では大阪市に対して、安全衛生委員会としてメンタルヘルスの調査を実施し、その結果にもとづいて「メンタルヘルス対策の計画」を立て、具体的な職場の改善に取り組むことを要求します。次回シリーズは「職場復帰のとりくみについて」です。


シリーズ労安 メンタルヘルス対策は職場診断と予防から
【 大阪市労組 第356号-2007年8月1日15日合併号より 】

|

この夏こんなとりくみが

>> グローバル・ピース・コンサートinOSAKA

●日時 8月9日(木)午後7時開演
●会場 いずみホール
●料金 S席4000円 A席3000円
●主催 グローバル・ピース・コンサートinOSAKA実行委員会


>> 鉄の造形 武田美通展 「戦死者たちからのメッセージ」

●日時 8月9日(木)~16日(木)10:00~19:00
    (日替わりでトークや音楽界が楽しめます)
●会場 大阪グリーン会館2F
●参加券
      大人1000円(前売り800円)
      中高生500円(前売り400円)
      小学生以下無料
●主催 「戦死者たちからのメッセージ」を広める大阪の会
※問合せは、大阪市民ネットワーク(TEL06-6921-5271)まで


>> 第11回おおさか自治体学校 もうひとつの都市再生

●日時・会場
 ◆1日目 8月25日(土)13:30~17:30
       交野市ゆうゆうセンター
 ◆2日目 8月26日(日)10:00~15:30
       大阪市立大学理学部附属植物園
●参加費
      資料代3000円
      1日目夕食交流会代6000円(申込要)
      2日目昼食弁当代1000円(申込要)
●内容
 ◆1日目 講演「これからの大阪都市再生を考える」
       講師 中山 徹氏(奈良女子大)
       報告・交流会
       大阪における住民参加のまちづくり

 ◆2日目 大阪市立大学理学部附属植物園視察見学
       講演と報告・交流
       講師 植松千代美氏(市大理学部附属植物園)
       コーディネーター 藤永延代氏(大阪市民ネットワーク代表)
●主催・申込み 第11回おおさか自治体学校実行委員会
        (TEL06-6354-7220)


>> 4才から楽しめる 夏休み! おこさま☆ランチタイム☆コンサート

●日時 8月26日(日)
     1回目 11:30~12:30
     2回目 14:30~15:30
●会場 いずみホール
●入場料 4才~中高生1000円 一般2000円
●主催 「サマーミュージックフェスティバル大阪」実行委員会

※問合せは、大阪アーティスト協会(TEL06-6135-0503)まで


>> 憲法を活かし、地域に平和・人権・自治の風を 第49回自治体学校inかながわ

●日時 9月1日(土)~2日(日)
●会場 横浜鶴見会館他
●内容
    ◆1日目 全体会
     記念講演「地方自治制度の改革と『国のかたち』」
     特別報告「名誉あるトップバッターをめざして」
     特別講演「地方財政の焦点」他
    ◆2日目
     分科会・中規模教室など
●主催 第49回自治体学校実行委員会

※問い合わせは、市労組自治体局(担当:斎藤)まで。


>> 宣伝・広報フォーラム

●日時 9月29日(土)13:30~30日(日)13:00
●会場 西浦温泉ホテルたつき
●テーマ
     ①憲法9条を多角的に考える
     ②笑って明日の活力を
     ③労働ビッグバンって何だ―未来に何が・・・
●参加費 26000円(一泊二食付)
●主催 連合通信社・関西共同印刷所・かんきょうムーブ、他


この夏こんなとりくみが
【 大阪市労組 第356号-2007年8月1日15日合併号より 】

|

« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »