健康破壊の成果主義賃金の導入は見送るべきでは ~市労組連が質問状~
給与構造改革による成果主義の導入について
市当局は給与構造改革の総仕上げとして、「成果主義との賃金リンク」を提案しています。市労組連が市長に対し質問状を提出したところ、このほど総務局長から回答が届きました。残念ながら誠実な回答とは言えません。
私たちは職員の中でのオープンな議論を願っています。ぜひ皆さんのお声をお寄せください。
1.大阪市職員の健康問題は「危険水域」に達しています。
厚生労働省が、本年5月に昨年度の労災補償状況の発表を行いましたが、労災請求件数・認定件数の増加について、とりわけ精神障害の急増の原因については「長時間労働と成果主義の浸透が影響している。」と述べています。
人事評価と賃金をリンクさせることが、職員の健康問題をさらに深刻化させることになることは明らかです。これ以上の健康破壊を防止するため、成果主義の導入を見送るべきではないでしょうか。
(回答)
平成18年度から実施している新たな人事評価制度の目的は、地方分権の市政運営において、社会状況の変化に伴い、ますます複雑多様化する市民ニーズに柔軟かつ的確に対応すべく、職員一人ひとりがその能力を最大限に発揮するために、人材の育成を行い、その活用を図ることにあります。
勤勉手当の成績率や勤務実績に基づく昇給制度については、頑張っても頑張らなくても処遇が同じであれば、職員の士気向上につながりにくいことから、人事評価制度の目的である人材育成への動機付けとして考えているものであり、制度の導入が過度な労働を強いて健康被害につながるものとは考えていません。
2.これまでの交渉で、当局からは成果主義賃金の導入によって「職員のモチベーションはアップする」との説明が繰り返されてきました。
しかし、経済協力開発機構(OECD)による「世界の公務員の成果主義給与」では、「職員のモチベーションの向上は、業績給導入の主な理由であった」が、導入後に、「プラスの成果として職員のモチベーションの向上を報告した国はあまりなかった」と報告しています。
また、日本に民間企業においても企業経営者から「成果主義が導入されるにつれ、社員はやる気を失っていった」などとの発言が飛び出しています。
当局が2006年12月に実施した「人事評価制度にかかる職員アンケート」の結果においても、制度の導入について、「チームワークが乱れる。公務にはなじまないし、民間ではすでに破綻している。」とした反対意見が353件と賛成の135件を大きく上回っています。
「職員のモチベーションはアップする」という根拠、具体的イメージについて、当局の考えを説明して下さい。
(回答)
民間企業の人事給与制度も多種多様であるため、一概には言えませんが、経済産業省が昨年発表している「人材マネジメントに関する研究会報告書」では、評価結果の本人へのフィードバックや評価者訓練がなされていないなど被評価者の納得性を確保する施策が十分でなかったこと、成果を出すための人材育成機能が低下していたこと、成果主義導入の契機がバブル経済崩壊後のコスト削減にあったこと、などの問題点が指摘されています。
大阪市では、これらの民間企業における問題点を踏まえて、新たな人事評価制度において、評価基準の設定・開示、評価者面談の実施、評価結果の開示、苦情相談制度の構築、評価者研修の実施など、評価の客観性、公平・公正性、透明性の確保に努めるとともに、人材育成基本方針を策定し、個々の職員の能力アップにも積極的に取り組んでいます。
また、人事評価結果の給与処遇への反映は、勤務実績に応じた配分方法の変更であると認識しており、人件費の抑制を目的とするものではありません。
以上の点から、人事評価結果の給与処遇への反映は、人事評価制度の目的である人材育成への動機付けに寄与するもの考えています。
職員の健康はそっちのけ?
職員削減の中での成果主義導入は過度な労働につながらない?!
別表にもあるように職場の健康はすでに危険水域に突入しています。これほどまでに職員の健康状態は悪化してきているのに総務局長の回答はたった一言、人事評価制度の導入は「健康被害につながるものとは考えていません」と切って捨てます。厚生労働省の見解へのコメント・反論すらないのは、労働時間管理の厚生労働省通達を握り潰してきた姿勢と変わりがありません。職員の健康に責任のある総務局長として、その改善策を我々に示すべきです。
虚ろに響く「モチベーションがアップする」
市側は、民間での問題点を踏まえ、改善に努めているとしていますが、会ったこともない人の評価をどうやって行っているのでしょうか?また質問2にもあるように職員の声は「公務にはなじまない」とはっきり断を下しています。昨年冬から課長代理級以上の一時金に成績率が導入されましたが、その結果、モチベーションは上がったのでしょう?
給与構造改革による成果主義の導入について 【 大阪市労組 第356号-2007年8月1日15日合併号より 】 |
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