働きがい・職場の和を奪う ~ムダづかい放置し、人件費削減めざした~ 査定昇給・成績率ノー
日本に本格的に導入されて10年以上も経過する成果主義ですが、多くの企業では、人件費削減には結びついたものの、次のような問題点が指摘されてきました。
①社員が長期的展望に欠ける行動をとる。②社員の連帯感が薄れてきた。③成果を正確に計るのが難しいので不満がでやすい。④結果がでやすい仕事ばかりにとびつく。⑤自己中心的な行動をとりがちだ。など、こんな成果主義は、住民のいのちとくらしを守る自治体職場には不要です。
人事評価制度にはこんな矛盾が
●国家公務員でさえ人事評価制度はまだ試行中!
総務省の事務次官通達が10月30日に出されました。その中で「勤務実績の給与への反映」が強調され、市当局も一時金に「成績率」を導入しようと、繰り返しこの「通達」を持ち出しています。
ところが、事務次官通達にはこう書いています。「勤務成績を適切に評価するためには、公正かつ客観的な人事評価システムを活用すること」「国においても新たな人事評価が実施されるまでの間は、(中略)当面、現行制度の枠内における判定手続き…」などとしています。
国では人事評価制度はまだ試行中であり、従来の方式での労使協議が行われるのです。
●査定昇給実施しなくても、人事委員会がカバーする
10月16日に出された大阪府人事委員会の勧告は、民間との較差を3、980円(0.97%)としました。昨年は大阪市とほぼ同様のマイナス勧告でしたが、今年の大阪市との違いはどこから生まれたものでしょうか。比較相手の民間賃金は大阪市と同じ資料を使っており、差の原因は職員の賃金です。大阪府では、昨年労使協議が整わず査定昇給の実施が見送られおり、公民給与較差の根拠の重要なポイントとなっています。
「査定昇給を実施しなければ職員には損害を与える」という当局の主張は、ピント外れで「人事委員会制度」によって格差は吸収され、賃上げにつながるのです。
●評価者にストレス、被評価者に不信まねく「人事評価制度」
民間企業では、成果主義賃金の多くの失敗例を受け、人事評価システムには「客観性・透明性・納得性」が大事だと強調されてきました。しかし大阪市役所での2度目の人事評価が9月末を期日にしてすすめられていますが、だれも「客観性・透明性・納得性」があるものとは見ていません。それどころか、昨年の結果は、評価の基準・物差しが所属ごと、職場ごとに大きくバラついており、評価者も被評価者も大きな批判・不満を持ち相互のストレスは拡大するばかりです。
一度の査定昇給の実施は、1年限りの影響ではなく、退職まで基本的に格差が続き生涯賃金にはね返る重大問題です。
●人事評価制度の矛盾点 被評価者の怒りの声
・評価者を担当係長に下ろし、仕事を知らない担当係長が評価している。面接で担当係長だけでは問題がある場合、課長級も入るという返事を得ているが、仕事中に何人も離れられない。
・課長が体調悪く、4月から長らく休んで、9月末で退職した。課長代理が2次評価者となっている。
・昨年、全体として評価が低かったため、特別昇給に悪影響がでた。今年も同じおろし方をしており、「3以上はつけたらあかん」というところがある。
・育児休業中だが、今年4月からの新所長から、私が書いた自己評価を「考え直してくれへんか」と言ってきた。下げて欲しいという意味のようだ。また「苦情相談しません」「3以下でつけるよう」指導しているようだ。
・10月から9月の期間が中途半端、これで評価が正当に出来るのだろうか。前の職場の評価は反映していない。4月から3月もしくは1月から12月に変更すべきだ。
・4月に異動した人は、前の職場の評価をすることになっているが、実際はしていない。
・自主申告をオール5で出した。面接の際に「制度に挑戦するのか?」と聞かれたが、制度の形骸化を求めていると応えた。管理職は本音ではしんどがっている。課長自身「長くもたんな~」と言っていた。
・現業では、統括主任が第一次評価をしている。Bに落ち着くようにつけたが、昨年の特別昇給の結果を見て、事前の説明と違うという意義が出された。絶対評価はなにと比べてつけているのか。謙遜しても、結果はそうは見ない。謙遜する必要なし。
働きがい・職場の和を奪う ~ムダづかい放置し、人件費削減めざした~ 査定昇給・成績率ノー 【 大阪市労組 第361号-2007年11月7日号より 】 |
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