夏期一時金と夏季休暇の市側回答に対する市労組連の態度
2008年5月1日・大阪市労働組合総連合
1.2008年夏季一時金闘争は、後期高齢者制度の実施やガソリンの暫定税率復活に対する国民の怒りが爆発し、福田自公政府への批判が強まるなか、さらに、橋下大阪府知事が連日マスコミに登場し、人件費削減を最大の柱としながら教育と福祉への全面的な攻撃をかけているなかでのたたかいとなりました。
同時に、昨年の年末手当に続き成績率の導入をめざす市当局の事務日程の都合により4月末が回答期日とされ、それに協力する市労連によって例年より1ヶ月以上早い交渉日程とヤマ場が設定されました。
市労組連は、組合員の要求アンケートを毎回とりくみ、その要求に依拠したたたかいをすすめてきましたが、このような状況の中で、重大な制約が加えられたたたかいとなりました。
2.市労組連は、4月初旬に各単組の要求申し入れを行い、4月15日(火)に第1回団体交渉をとりくみました。その後、事務折衝を重ねたうえで、本日(5月1日)午後5時30分から第2回団体交渉を行い以下の市側回答を受けました。
夏期一時金の回答では、期末手当は「1.4月分」、勤勉手当は、成績率の実施を前提として「0.75月分を原資とするが、そのうち0.015月分を上位区分の割増支給原資」とし、評価区分ごとの支給月数は「標準(B)の職員は0.735月分、上位(A)の職員は0.735月プラス割増支給分」「下位(C)の職員は0.7月分とするが、標準との差0.035月分についても割増支給原資としたい」「評価区分が上位(A)の職員の割合は40%、評価区分は平成19年度年末手当において決定した区分を基本」とするとし、支給日については、「6月30日(月)」との回答が示されました。
3.市労組連はこの市側回答に対して、組合員や家族の一時金への期待を背景とした市労組連の要求内容から大きく隔たっており不満であることを表明しました。
また、成果主義賃金の問題点が民間ですでに顕在化して久しい状況のなか、方向転換を求める各方面からの議論が強まっているなかで、公務職場への導入強行が、市民サービスの向上のため協力してすすめる職場体制に打撃を与え、いかに将来に問題を残すものであるかを冷静に議論すべきだと指摘しました。
さらに、職務段階別加算制度は、市側がすすめる現業職員の流動化の進行によって、同じ職場で同じ仕事に従事しているにもかかわらず、適用される給料表によって賃金処遇に格差を生じさせることになり、差別支給の矛盾が職場で顕在化することは避けられず、廃止と一律支給を求める立場を強調しました。
今後、成績率や職務段階別加算制度によって引き起こされる問題点を具体的に明らかにしつつ、廃止をめざす運動を粘り強くとりくむ決意を表明するものです。
4.夏季休暇については、「5日」とし、また、夏季休暇の取得対象期間を半休運用の廃止や変則勤務職場等の勤務実態等を考慮し、7月1日から9月30日までに延長すること、さらに、現行の病気欠勤45日以上の個々審査による欠格措置を、本年6月1日をもって廃止することが回答されました。
再任用職員については、期末手当0.75月分、勤勉手当0.35月分、合計1.1月分を6月30日(月)に支給し、夏季休暇については、フルタイム勤務職員が「5日の特別休暇」、短時間勤務職員は「週あたりの所定の勤務日数に応じて付与する」という規則・要綱等に基づく内容として回答されました。
市労組連は、非正規職員の格差是正を要求するとともに、職場での非正規職員の勤務実態は勤務時間の違いを除いて正規職員と同様のものがほとんどであることを指摘し、実際の職場実態を把握し、それを前提に議論すべきであることを求めました。
市労組連は、この間の交渉・折衝経過も踏まえて「提示された市側の回答については持ちかえることとし、後ほど、改めて市労組連としての態度を表明する」としてきました。
職務段階別加算制度に加え、成績率など合意できない内容が存在するものの今季闘争については終結することとし、市側回答については各単組討議に付すこととします。
5.市労組連は、これまで国民春闘のとりくみの後、引き続き5月6月の夏季闘争をとりくんできました。今期闘争は既に述べたように従来の闘争ゾーンを前に回答が出されるという状況が生まれました。今後、5月26日に定期大会を開催し、闘争方針の確立をはかりますが、人事院勧告までのとりくみについて、これまでのたたかいの経過をふまえるとともに、次の基本的な構えでたたかうことを表明します。
第一に、「市政改革マニフェスト」が強行され、人員削減と現業職員の流動化、アウトソーシングの嵐のなかで、職員の健康への不安は心と身体の両面から急激に高まっています。市民のために健康に元気で働くことのできる労働環境を確保することは、労働組合にとって最大の課題です。賃金・労働条件、そして健康に関わる課題について、これまでの一時金や確定時の交渉だけにとどまらず、個別の課題の前進をめざして積極的に問題提起し、要求運動の前進をめざします。
第二に、「査定昇給」「成績率」の導入による問題点を職場の現実から明らかにし、積極的な職場討論を組織し、撤回をめざします。
第三に、市役所や学校園の中でも、多様な雇用形態の職員がますます増えつつあり、「格差」が拡大しています。市当局は、職務内容を切り分けているので待遇に格差が生じることが当然と主張していますが、実際の職場の実態を見ない議論です。一時金の支給月数をはじめとする勤務条件での格差の是正と労働条件の向上を強く要求しとりくみを強めます。
第四に、市民の安全・安心を切り捨てる「市政改革マニフェスト」とのたたかいは、マスコミを動員した橋下知事の登場によって新たな居面を迎えています。市民・職員にとって百害あって一利もない、新自由主義による自治体改革の攻撃に正面から立ち向かい、市民とともに真の市政改革めざして全力でたたかう決意を表明します。
夏期一時金と夏季休暇の市側回答に対する市労組連の態度 【 大阪市労組 第367号-2008年5月20日号より 】 |
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