生活保護担当者の緊急雇用を! 増え続ける生活保護受給者、パンク状態の支援体制
生活保護受給者数は全国で急増し続けています。雇用情勢がますます悪化するとともに、厚生労働省を動かした「年越し派遣村」のとりくみをマスコミで見て、今年に入って申請し、保護が始まった人も急増しており、今も大阪市役所の生活保護相談窓口には、連日相談者が列をなしています。
そんな中、生活保護支援体制はパンク状態となっており、緊急の対策が必要です。
4月当初から大幅な欠員状態
本年4月から、新規採用者を含め生活保護ケースワーカーは25名が増員されました。ところがすでに大幅なケースワーカー不足が発生しています。それは、大阪市の生活保護ケースワーカーの配置数は、前年の9月末時点の保護件数を基準に決定しているため、10月以後3月末までに増加した件数が丸まる要員不足につながるという欠点が存在していたからです。市労組は、毎年、この問題点を指摘し、年度途中でも職員を採用するように申し入れてきましたが、今年は、前述のように昨年末以後、保護の申請件数は急増し続けており猶予できない事態となっています。
生活保護の受付(面接)は管理職総出
各区の支援担当では、殺到する申請者を前にして受付面接の担当者だけでは対応しきれず、管理職員が総出で対応せざるを得ず、それでも昼食を取れないまま夕方を迎える担当者も出ています。
北九州市での餓死事件のマスコミ報道をきっかけに、世間に知れ渡った、いわゆる「水際作戦」が事実上なくなり、本来の福祉事務所になったという評価があるなかで、新規の保護申請の「決定・却下」に至るまでの実務はベテラン職員でも1件に二日を要するという最大の繁忙要素であり、生活保護を支える担当者の悲鳴は切実です。配置基準に沿った職員配置に近づけるため、職員の緊急雇用が求められます。
ケースワーカーの配置実態は?
平成17年厚生労働白書によれば、厚生労働省は生活保護現業員(ケースワーカー)の配置数不足が、2000年の354人から2004年には1198人と約3.4倍となっており、増加傾向にあることを認めています。大阪市でも、3月末のケース数でみれば、単純に600人が不足していることになります。また、全国的にも、保護率の増加にケースワーカーの配置が追いついておらず、一人当たりの担当世帯数が増加しています。同時に、ケースワーカーの経験不足や社会福祉主事の資格を持つ担当者も低下しているのが実情です。
地方自治体の職員にとって生活保護事務は、単に訪問業務をこなせば良い訳ではなく、事務処理が膨大なものになっており、本文でもあるように、当該の市は否定していますが、生活保護申請に対して、「申請します」「ハイどうぞ」というように簡単に受理すると人事考課が下がるという北九州市の例もあります。さらに、安全面から敬遠される傾向の高い業務の一つであり、結果的に社会人としても公務員としても経験が不足している新人職員が配置されることも少なくない自治体も増えています。
ケースワーカーは、この間、介護保険制度の創設など業務が増加しているだけでなく、生活保護の他法優先の原則によって、広範な福祉制度に対する高い知識力が求められるようになっています。配置定数を満たすことを求めるとともに、ケースワーカーの質をいかに高めるかについても大きな課題といわれています。
生活保護担当者の緊急雇用を! 増え続ける生活保護受給者、パンク状態の支援体制
【 大阪市労組 第378号-2009年4月20日号より 】
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