賃下げ 解雇 やり放題の職員基本条例案、労使合意なく議会提上

　市労組連・市労組は、３月15日（木）午後８時半から職員基本条例案について３回目の団体交渉を行いました。市側からこの日も「条例案」を一部修正するなど提案そのものが拙速だという実態が露呈していますが、軍隊的組織をつくり、大幅な賃下げと首切りやり放題に通じる「条例案」に疑問・批判が噴出するなか、当局は交渉を打ち切り、市議会に提案することを宣言して席を立ちました。市労組連・市労組は合意できないことを表明し、引き続き交渉するよう強く求めました。

矛盾だらけの相対評価、何故首切りにつながる最下位評価者が５％？

　「条例案」は、現行の人事評価制度の評価基準のままで、絶対評価から相対評価に変更するとし、必ず５％の最下位ランクを生み出すとしています。しかも、所属や職種の枠を取り払い全職員を一括で対象にして順位をつけるという無謀な相対評価を考えています。

　現行の評価でも所属や職種ごとで評価点数の平均が大きく異なるという矛盾をかかえています。評価基準が厳しい所属や職種に最下位ランク者が集中するという危険性を持っています。
　また、5％にしなければならない理由もなく、真面目に働いていても2年連続最下位ランクとなれば、分限免職の対象となるとんでもないものです。

ねらいは首切りの自由化

　橋下市長は３月21日の囲み取材で「公務員の身分は、何があってもクビにされない、何があっても仕事が保障されるという特権になっている。倒産することのある民間と待遇が一緒だというのはおかしい。公務員は、倒産しないということを前提に給与額や休暇日数を定めるべき」と発言しています。

　「何があってもクビにされない」とは事実に反した発言ですが、時の権力の動向に左右されずに安定した業務執行を行うために定められた公務員の身分保障制度を崩し、あらゆる事業での民営化をめざし首切りと賃下げの自由を「条例案」に込めた橋下市長の意図は明確です。

昇格しなければ昇給ストップ
専門性、経験年数無視の給与削減を実施

　「条例案」では、「職員の給与」は二階級上位の級の最低の給料月額を超えないよう努めることと、情勢適応の原則に基づき、民間の同一の職種又は相当する職種の給与水準を参考にすることとなっています。

　例えば行政職3級試験に合格せず2級のままとなれば、現行の給料表では最高号給362,200円まで昇給しますが、条例案では、272,000円（4級の最低号給）までとなり、△90,200円の削減となります。272,000円では、結婚し、子供を育てることは生計費原則からも不可能です。

　また、アルバイトやパート労働者を含めた民間賃金水準と比較し、同じ職種ならその賃金水準に合わせて賃下げを行うことを規定しています。しかも、地方公務員の労働条件の維持改善を規定した地方公務員法にある「情勢適応原則」を持ち出すとは違法というしかありません。

　このような重大な矛盾に対して市側の回答は、条例はあくまでも「理念」と答えるだけで、職員の暮らしを守る視点には立っていません。

　市民の安心、安全を守る大事な公務の仕事を軽視し、職員の働きがいさえ奪うものです。

賃下げ　解雇　やり放題の職員基本条例案、労使合意なく議会提上

【 大阪市労組　第412号-2012年3月28日号より 】