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2014年1月27日 (月)

保育士・幼稚園教員の専門性を重視した処遇改善こそ必要です!~大阪市人事委員会へ質問・意見提出~

 低賃金で重労働の保育所・幼稚園では、労働条件が悪いため職員の定着率が低いことや職員を募集しても集まらないことが社会問題になっています。

 そんな中で、橋下市長は大阪市の保育士や幼稚園教員の給与を劣悪な民間に合わせて引き下げる姿勢を取っています。ブラック企業なみの離職率になっている民間保育所・幼稚園の待遇改善こそ必要であり逆行する動きはもってのほかです。

 市労組連は1月14日、大阪市人事委員会に対して「職員(保育士・幼稚園教員)の給与に関する報告について(質問・意見)」を提出しました。要旨は次のとおりです。

1.保育士の社会的な役割や専門性に見合った賃金・労働条件に改善すること

 大阪市立保育所では昨年4月に必要な職員が確保できず欠員状態で新年度を迎えるという異常事態が発生しました。保育所は子どもの生命と健やかな成長を保障するところです。しかし、不十分な職員配置によって乳幼児の死亡という悲劇が全国で多く発生していることを直視しなければなりません(平成16年4月から平成24年12月末までで、死亡事故124件)。また、保育士の頸肩腕症候群などの職業病が発生するという問題もあります。

 欠員という異常事態が発生する原因は、橋下市長による保育所民営化方針により正規職員を採用しなかったこと、それに代えて募集した任期付職員や非常勤嘱託職員の労働条件が余りにも劣悪なためです。

 大阪市立幼稚園では、民間では当然配置されている事務職員が配置されておらず幼稚園教員が事務作業を行うなどの負担があり、その結果として長時間労働の実態が生まれています。

 また、民間園とは違い配慮を要する幼児の入園を受け入れているため、その支援を行うために負担が増すのみならず専門性も求められています。この点では大阪市立保育所も同様の課題を抱えています。
 保育所・幼稚園は極めて重要な役割を担っています。その重要性を踏まえるならば人事委員会として単に賃金面の比較を統計的に行うのではなく、保育所・幼稚園を実地に見学するなど職場実態を正確に把握するべきです。

2.民間保育所・幼稚園の労働条件の底上げこそ必要

 民間保育所でも仕事の責任の重さと労働条件の劣悪さなどの理由から保育士不足が社会問題となっています。

 大阪市人事委員会の「報告」でも、大阪市内の民間の保育士や幼稚園教員の人員構成において20歳
台が「半数以上」「7割」であり、勤続年数ではいずれも8割以上が10年未満であり「若年層が中心で、人材の流動化が激しいこと等が推察される」としています。これは民間の保育所・幼稚園における労働条件の悪さにています。

 今、ブラック企業が社会問題となり「離職率」が一つの物差しとして提起されている状況のなかで、民間の保育所・幼稚園の実態はブラック企業と比べても厳しい実態であり、直ちに労働条件を改善し職員の処遇改善こそが求められています。

 ましてやこのような民間の実態に無批判に合わせることは誤りだと考えます。

3.労働基本権の代償機関・公務員労働者の権利擁護機関としての役割発揮を

 人事委員会は日本国憲法に規定されている労働基本権を公務員労働者に対して制約するための「代償機関」だと自ら述べています。そのことから公務員労働者の労働条件改善をはかることを本来の任務とするものであり「公務員労働者の権利擁護機関」です。

 この役割・立場を完全に放棄し、労働組合や職員の意見を一切踏まえることなく、使用者からの意見を一方的に受けた「報告」には重大な問題があると考えます。

 大阪市で働く保育士・幼稚園教員は、大阪市職員そして地方公務員として職務に専念し、その専門性を高めてきました。今回の「報告」は、それら保育士・幼稚園教員のこれまでの努力と尊厳を傷つけるものであることを最後に指摘するものです。

保育士・幼稚園教員の専門性を重視した処遇改善こそ必要です!~大阪市人事委員会へ質問・意見提出~

【 大阪市労組 第429号-2014年1月27日号より 】

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