「大阪都構想」の破たん いよいよ明らか
異例の「市長選挙」が過去最低投票率・最多無効票という結果で終わりました。この選挙中に大阪市財政の現状と今後の見通しをめぐってくり返し宣伝された「再編の効果と現状維持の比較」という「摩訶不思議」な主張を検証します。
大阪市は24年連続の黒字決算!
昨年10月に財政局が発表した平成24年度一般会計決算では「4億1100万円の黒字(平成元年以降24年連続の黒字)」「市債残高、8年連続の減」と発表されています。ところが橋下市長は選挙中あらゆる場面で「今の大阪市役所なら赤字が続く」「大阪都になれば黒字に変わる」と宣伝していました。
赤字の根拠は土地売却代などを含まない「仮定の数値」
橋下市長の主張の根拠は昨年12月6日の第10回法定協議会に出された「財政シミュレーション」です。さらに「赤字」の根拠は昨年2月に財政局が出した「今後の財政収支概算(粗い試算)」で、その後の収支の変動要素を加味し、さらに特別区に再編後の収支の予測数値が使われています。
この「予測数値」が「赤字」になるには単純なカラクリがあります。歳入に「土地等の売却代」「財政調整基金」などを含めない前提がついているからです。いわば赤字を演出するための仮定の数値なのです。
「現状維持なら莫大な借金・赤字」はデタラメ!
橋下市長はこの仮定の「赤字」を前提に「現状維持なら莫大な借金」と主張します。しかし、地方自治体の会計は基本的に年度単位に完結させ、収支不足があれば土地売却代や基金(貯金)を取り崩して収入に充てるため、資産が減少することはあってもそのことで「借金」が増えることはありません。現にそのように運営されて24年間黒字だったのです。橋下市長の主張は言い過ぎではなく明らかにデタラメです。
また、「摩訶不思議」な三色グラフでは「活用可能財源 平成45年までに、約1375億円」と宣伝していますが、ここでは「土地の売却代」「財政調整基金」を平成27年からの8年間で1279億円も注ぎ込み収支の均衡を取っています。前提条件が違う数値を比較していることも驚きです。
再編効果額約2917億円は「粉飾」
さらに、再編効果額が約2917億円とされています。これは既に本紙の昨年8月号で「都構想効果は粉飾」であることを批判していますが、「効果」には「大阪都」と関係のない「市政改革プラン」や地下鉄民営化などを含め、「コスト」は過少にして計算したものが使われています。
私たちは、現職の市長がこのような「仮定」と「粉飾」の数値を元に「大阪都構想、府市再編の効果」をあらゆるところで宣伝する異常さに驚かざるを得ません。同時に「大阪都構想」「5区分離案」が内容的に破たんしていることが確認できました。
「大阪都構想」の破たん いよいよ明らか
【 大阪市労組 第431号-2014年3月27日号より 】
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