憲法28条 制約の代償 人事委員会の勧告を尊重し、賃金カットの中止!改定の実施を!
憲法で保障された労働基本権が不当に制約された日本において人事院勧告制度が作られ、民間給与を調査して公務員賃金との格差を是正するという人事院勧告が毎年出されてきました。この10数年の経過を見ると、僅かな金額のプラス勧告があったものの、ほとんどがマイナス勧告でした。今年は7年ぶりの一時金・月例給ともプラスとなっています。
憲法28条を制約した制度であり、これを尊重するのは当然のことです。しかし、橋下市長はここでも憲法に挑戦する不当な姿勢を示しています。
「安かろう悪かろう」の行政で、真の被害者は市民
賃上げは果たして橋下市長が言う「市民の理解が得られない」のでしょうか?。公務員の人件費が「安ければ安いほどよい」という立場に立てば「賃金を大幅に下げる」「人員を削減する」「事業を民間に委託する」などが考えられます。もし、それらのことを実行すればどうなるのか。もし、事業を民間に委託し、その委託先が人件費を大幅に削って運営したとすれば間違いなくサービスは低下し、その業務の質はひどいものになるでしょう。
地方自治体が行う公共業務にかかる費用の大半は人件費で占められています。公務が事業を行うとなれば必ず一定の人件費は必要になってきます。もし、人件費がかかるので公共業務を民間に任せれば、税金の支出は減るかもしれませんが、そのサービス内容には公共としての責任が持てなくなります。そしてサービス低下の被害を一番市民がうけることになります。いわゆる「安かろう悪かろう」では市民が一番困るわけです。
民間の劣悪な労働条件への引き下げはブラック企業への道
公務員の賃金が上がれば民間労働者の賃金もあがり、所得が増えた労働者はその所得を消費に回すことができるので、景気が良くなります。景気が良くなれば税収も増えるので、市民サービスも手厚くできます。
ところが大阪市では橋下市長の指示によって保育士や幼稚園の教員の賃金を民間園に合わせようとする改悪案が準備されています。民間の保育園では職員の賃金・労働条件が劣悪なため、職員が長続きせず退職が多い一方、保育士が集まらないという危機的な状況が社会問題となっています。大阪市立の保育所・幼稚園を「民営化」するために劣悪な民間賃金に合わせるのは大きな間違いです。 市労組は民間労働者と一緒に賃金を増やすため頑張っています。
物価上昇で既に実質賃金指数2・6%減
厚生労働省が9月30日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報)によると、労働者が受け取ったすべての給与の平均額を示す「現金給与総額」は、前年同月比1・4%増の27万4744円となり、6か月連続で増加しました。民間では春闘でのベースアップに加え、夏のボーナスの支給額も前年を上回ったことが影響したのです。
しかし、物価上昇分を加味した実質賃金指数では既に2・6%の減となり、消費税増税による物価上昇が働く者の生活を悪化させている事実が明らかになっています。
公務員賃金が勧告によって改善しても、物価上昇を取りもどせず生活悪化の幅が縮小するだけなのです。
月7万円ダウンした職員給与
大阪市人事委員会が調査した官民給与額で10年前と比較すると民間の賃金ダウンより大阪市職員の賃金ダウンが賃金カットの影響もあり倍以上も落ち込んでいます。生活が苦しいのは当然です。
憲法28条 制約の代償 人事委員会の勧告を尊重し、賃金カットの中止!改定の実施を!
【 大阪市労組 第437号-2014年10月29日号より 】
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