認可外保育所 ラッコランド京橋園乳児死亡事故裁判
大阪高裁で原告の保護者逆転勝訴!施設側に賠償命令
11月25日、大阪高裁は認可外保育園「ラッコランド京橋園」で当時4ヶ月の赤ちゃんが死亡した事故に対して、地裁での判決を破棄し、原告保護者に勝利判決を言い渡しました。
2014年9月24日、大阪地裁は原告の主張を棄却し、幸誠ちゃんの死因をSIDS(乳幼児突然死)と決めつけ、ラッコランド園のずさんな運営や大阪市の行政責任を何ら追及しない判決を言い渡しました。原告はあまりにもひどい判決を不服として大阪高裁に提訴し争ってきました。
高裁での判決は、ラッコランド園のずさんな保育体制や保育内容を断罪。地裁での園側の証言も信憑性にかけるとして退けました。
①保育従事者は、就寝中の乳幼児を常に監視し、うつ伏せ寝の体位であることを発見した時は、仰向けに戻さなければならない注意義務があるのに、幸誠をうつ伏せ寝のまま放置し、窒息死させた注意義務違反、②乳幼児の睡眠確認を十分行うために必要な人員体制及び物的設備を備える注意義務違反、③うつ伏せ寝の禁止を徹底しなかった注意義務違反と原告の主張をほぼ認める判決でした。
一方、大阪市の責任については、「改善指導に従って努力したと大阪市が評価したことは不当であったとまでは言えない」と棄却しました。しかし、裁判の中で、大阪市が立ち入り調査で何回も有資格者の保育士不足等を指導してきたことや立ち入り調査の時に入所の子どもの表情が乏しいことや衣服が汚れていることなど保育内容についても指摘してきたことが明らかになっています。そして、このように何回も指導している保育所でも、待機児童が多い大阪市においては「需要と供給」の関係があるので、すぐに中止させるわけにはいかないと市側から意見が提出されています。
本当にそれでいいのでしょうか。待機児童解消の問題は保護者に責任があるのではなく、大阪市が十分な予算を組んで待機児童を解消できる認可保育所を建設すればいいはずです。昨年度の認可外保育所の立ち入り調査でも、有資格者不足や避難路の確保、調理室の衛生管理等の指導を受けた保育施設がたくさんありました。何かあってからの改善では遅すぎるのです。
子どもたちの命が守られ、安心して預けられる保育所を大阪市の責任で建設し、保育の質が確保されていくこと、保育士不足を解消するための賃金・労働条件の確保をすることは大阪市の急務な課題です。今回の裁判を教訓に二度と保育施設で子どもの命が守れないようなことがないことを願うばかりです。
認可外保育所 ラッコランド京橋園乳児死亡事故裁判
【 大阪市労組 第449号-2015年12月24日号より 】
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