教・職員の確保が困難!地公法の規定に則った給与水準を!
9月21日、大阪市人事委員会は、①月例給の公民格差(0.15% 578円)を解消するため給料表の引上げ、②特別給(ボーナス)について、0.10月引上げを勧告しました。
大阪市は8年連続で異常な「賃金カット」を続けており、実際に職員が受け取っている賃金は民間よりも月額で11510円(2.98%)、年額で約19万円も下回り、政令指定都市中、全国最下位です。
いざ災害になれば、市民の命と財産を守る使命を持つ教員・職員の労働条件の実態に迫ります。
他市に、他府県に流出!
大阪市では、職員の人材確保に大きな支障が生じています。とりわけ保育士不足は深刻で、3年間で107人の保育士が確保できず、子どもの入所定数を394人削減するなど市民に直接の被害が及んでいます。これは保育士給与を大幅に引き下げたことにより、若い保育士は将来の生活に不安を持ち、他都市への転出や退職が止らないことが最大の原因です。
教員では、他府県と給与月額が5万円も低いことが明らかになるとともに、教員確保が深刻な事態となっています。
大阪市だけの賃下げ作業
大阪市人事委員会は、他の政令指定都市のどこも行っていない特別な作業を次のように行っています。
① 人事院との共同で行う「民間給与実態調査」の給与額の上下2.5%ずつ、合計5%を除外することです。その結果、4年連続で職員給与のダウンに道をつけました。
平成25年度(▲0.24%▲998円)
平成26年度(▲0.36%▲1474円)
平成27年度(▲1.36%▲5588円)
平成28年度(▲0.36%▲1420円)
② 保育士・幼稚園教員の民間給与を調べ、劣悪な賃金水準が社会問題になっている民間の保育士・幼稚園教員の賃金水準と比較し、市の保育士・幼稚園教員の賃金大幅ダウンに導きました。
③ 現業職員の民間給与の調査は、本来人事委員会の「権限が及ばない」ことなのに、市長の依頼を受けて」調査。
中立機関の役割を放棄した市人事委員会
勧告を出した人事委員会は、「任命権者と職員との関係で中立的機関」です。しかし、職員の声には耳を貸さず市長の意見には従うという中立性を放棄する事態が続いています。橋下前市長は、人事委員会制度は「虚構」だと攻撃するとともに、市職員の給料は「民間の1.3倍、1.5倍」(2015年5月16日難波での街頭演説)と根拠のない非難を行い、自らが「介入」したことを自慢しています。人事院近畿事務局はその主張に対して「言いがかり」だと断じています。
人事委員会に「介入」したことを自慢する橋下前市長による「介入」の中身が前述の他都市にはない賃下げ作業そのものです。
地公法違反の賃金調査
地公法には、職員の給与は、①生計費、②国家公務員の給与、③他の地方公共団体の職員の給与、④民間の従業員の給与、⑤その他の事情を考慮することを定めています。
また、地公法では、給与決定で「均衡の原則」が求められています。「人材確保という観点からは、給与水準は高いことが望ましく、国民、住民の負担という観点からは給与水準は低いことが望ましい。この相反する要請を調和させるものが、均衡の原則である」とされています。
保育士不足に象徴されるように、賃下げによって人材確保ができない今の大阪市の実態は「均衡の原則」を踏み外した地公法違反の状態だと言わなければなりません。
大阪市の財政状況の実態を踏まえよ!
大阪市の一般会計は27年連続黒字、市債残高は11年連続で減り続けています。
たしかに、市税収入が、ピーク時の平成8年度から1295億円減少していますが、国からの地方交付税は3倍の370億円に増え、人件費では市税収入の減少を上まわる1377億円も減少しています。維新市政による偽りの宣伝に惑わされてはなりません。
公務員への攻撃で、市民との対立をあおり、低賃金へ足の引っ張り合いを策してきた維新市政の真の被害者は市民です。
住民サービスに安心してまい進できるよう、働きがいある職場と生活改善をめざして今がんばりどきです。
教・職員の確保が困難!地公法の規定に則った給与水準を!
【 大阪市労組 第457号-2016年9月28日号より 】
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