来年2月市会 市民にとってメリットなし!大阪市解体・地下鉄民営化が焦点
来年の2・3月市会での焦点は、大阪市解体につながる「特別区」の「法定協議会」設置議案とともに、地下鉄・市バスの廃止条例案が提案されます。
この間、「総合区・特別区」の「住民説明会」が区毎に順次開催されてきましたが、「制度論」は市民にとって難解であり、市民の関心・議論は盛り上がらず、理解も深まっていません。
また、国会では賭博であるカジノを「合法化」する法律が、国民の多くが批判するなかで強行採決され、夢洲へのカジノ・IR誘致が大きく焦点化されることになります。
地下鉄民営化はインフラ整備の資金づくり?
夢洲へのカジノ・IR誘致には、鉄道・道路などのインフラ整備を伴い莫大な資金を必要とします。その資金作りの手段が大阪市解体による権限と財源の大阪府への集中であり、地下鉄民営化による株の売却益の活用です。
地下鉄・市バスの廃止条例案は過去二度否決されましたが、三段階に分けた迂回戦術による第二段階の「民営化基本条例」が12月議会で可決され、最終的な「廃止条例」が来年提案されます。「廃止条例」は3分の2以上の賛成が必要です。
「廃止条例」をめぐり最大のヤマ場を迎える2・3月市会
自民党と吉村市長との間の争点の一つは、「民営化」後の株の所有問題です。吉村市長は、「自分の任期中は株式を売却しないが、その後はわからない」「株式を売却する完全民営化が理想」と述べるなど、自民党が求める「大阪市が100% 株を保有し続ける」ことと明らかに矛盾しています。株式を売却して別の投資に回すという橋下前市長以来の方針からすれば、「100% 株式保有」が将来的に担保される保証はどこにもありません。
地下鉄・市バス「民営化」にメリットなし!
市民同士の対話でよく出てくる「メリット」論には、「トイレがきれいになった」「職員の給料の是正」などがあります。しかし、トイレ改修計画は平松市長時代(2011年3月)に端を発する、公営企業としての実績です。
また、昨年のダブル選挙で「バスの運転手の給料1300万円」などと吉村市長が演説で繰り返していましたが、真実は今から13年以上前、定年前のたった2人のバス運転手が人員不足で長時間の超勤をした結果の年収が問題にされたことです。さも今存在するかのような宣伝はデマです。現実のバス運転手は年収400万円代の非正規職員が増え、運転手が集まらずに現場が困っています。
民営化で運転資金が枯渇し、防災・安全対策は二の次に!
「地下鉄民営化プラン」によると、職員の退職金や民営化の経費を支払うと、運転資金が毎年70億円程度しか見込めないとなっています。これでは、津波や河川の氾濫への対策や転落防止柵の早期設置が出来なくなることは明らかです。
固定資産税と株の配当が入ると言っても…
「民営化」で固定資産税を年約45億円、株の配当が約64億円、大阪市に入り貢献するとしています。しかし、税収が増えれば地方交付税が減るのが地方財政の常識、株の配当は完全民営化で売ってしまったら一円も入りません。
一方、公営企業のままでも、公営企業法第18条2の「利益の状況に応じ、納付金を一般会計に納付するものとする」との規定によって大阪市に納付する義務があり、実行すればいいだけです。
カジノの資金づくりでなく、市民の足を守る公営企業の発展を!
公営企業は「公共の福祉を増進する」運営を義務付けられています。「誰でも、どこへでも、交通機関を使って、自由に移動ができる権利」を保障することは世界の常識です。
市バスの現状は、路線の廃止・減便によって「病院・区役所・買い物に行けない!」との市民の声が多数上がっています。採算優先の民営化は市民にとってメリットがありません。
来年2月市会 市民にとってメリットなし!大阪市解体・地下鉄民営化が焦点
【 大阪市労組 第460号-2016年12月21日号より 】
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