過去に戻すのか!ムダな巨大開発
開会中の予算市会には、大阪市の解体につながる「特別区」の「法定協議会設置」案や地下鉄・市バスの「廃止」案、さらにはカジノ問題など重要な議題が目白押しです。また、「総合区」の合区案も発表されます。今後、カジノ誘致に絡んだ鉄道・道路などの整備が急浮上することが予測されますが、バブル期のムダな巨大開発の再燃が懸念されます。
赤字演出の「収支概算」、巨大開発の方向示す!
今後の財政収支概算(2017年2月版)が発表され、昨年の概算より通常収支が悪化するという予測が出されました。
もともと「粗い試算」と前置きされている資料ですが、大阪市の財政が危機的だという印象を与える根拠にされていますので、批判的に見てみたいと思います。
収支不足が増えた最大の要因は、投資的経費の増でした。「淀川左岸線延伸、うめきた2期整備事業」などを盛り込んだとの理由が記されていますが、2017年度から2025年度の9年間の前年比較で2265億円も増大しています。一方、人件費は▲209億円、生活保護費は▲578億円を見込んでいます。
バブル期のムダな巨大開発の破たん処理にいまだに多額の税金投入を続けている大阪市ですが、巨大開発の乱脈市政の過去に戻すのでしょうか?。
夢洲にカジノ誘致で巨大開発再始動!?
昨年末の国会で「カジノ(賭博)法案」が自民、維新、公明の多数で強行採決されましたが、実施法はまだ決まっておらず、「カジノはいらない!」の声が大きくなっています。
一方、松井知事や吉村市長は誘致に前のめりで、カジノ・IR誘致の担当部局も設置されようとしています。
大阪市はかつて「テクノポート大阪」やオリンピック誘致にからんだ巨大開発の失敗を経験しています。夢洲にカジノを誘致するなら、540億円の地下鉄中央線の延伸案、1700億円のJR桜島線延伸案、3500億円の京阪中之島新線延伸案、さらには高速道路建設などの巨大事業が浮上することになります。
また、夢洲は現役の廃棄物最終処分場です。ゴミの減量で使用期間の延長をすることが必要なのに、2023年のカジノ誘致に合わせて前倒しで埋めてしまうとは…、酷い話です。結果として、新たな処分場の確保(新人工島)の建設でさらなる税金投入が必要になります。
地下鉄株式会社化の先は株売却で資金づくり
全国で最初に累積赤字を解消し、黒字を続ける地下鉄を「民営化」することで、いま地下鉄が持っている現金・預金(1562億円・2017年度末)が、退職金などの支払いに回り、運転資金が枯渇するとともに、防災対策や安全対策の強化が出来なくなります。
橋下前市長は、地下鉄の株を売却して他の事業に回してお金を生み出すことを「錬金術」だと記者会見で発言しましたが、カジノ誘致に絡んだ開発事業の資金に廻そうというのが本当のところでしょう。
「総合区」を利用し、大阪市解体に向かうのか!?
「総合区・特別区」の住民説明会が昨年8月から24区で開催され、「法定協議会」の設置が提案されましたが、「総合区」の合区案も公表されるようです。
松井知事と吉村市長がめざすのは大阪市解体への再挑戦であり、「総合区」を利用しているとの意見も出ています。大阪市解体で、大阪市の権限と財源を大阪府知事一人が握ること、これは巨大開発推進の権限と財源を得ることになります。
市民生活の向上へいっしょにとりくもう
貧困と格差の拡大で市民生活はますます大変になっています。巨大開発によって潤うのは一部の大企業です。
住民の福祉を増進することが地方自治体の本来の役割です。市民のくらしを応援する大阪市政にするために、職員の労働条件と市民生活の改善をともに追求するのが私たちの方向です。一緒にとりくみましょう。
過去に戻すのか!ムダな巨大開発
【 大阪市労組 第462号-2017年2月27日号より 】
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