「子どもの貧困と自治体施策を考える」集会を開催しました ～第3回現場実態を告発する学習・報告会（市労組連主催）～

市労組連は、憲法違反の職員基本条例や労使関係条例のもとで、職員、労働組合への権利侵害と同時に職場破壊がすすみ、市民サービスが切り捨てられている現場実態を報告する集会を継続して開催しています。今回は4月25日にヴィアーレ大阪で「子どもの貧困」をテーマに、関係する現場からの報告と藤永のぶよさん（おおさか市民ネットワーク代表）からの講演を受けて議論を深めました。

格差の拡大と貧困化は、自治体をむしばむ職員基本条例のもとで加速

基調報告では、職員基本条例のもとで、専門性が必要な福祉職場での人員不足とともに職員の非正規化がすすめられ、賃金でも保育士・幼稚園教諭に対して低い賃金水準となる独自給料表を押し付けることで、人材不足が起こっている実態が報告されました。結果として保育所では入所児童数を削減するなどの市民サービス切り捨てが行われています。

また、成績主義強化により上司への忖度が行われ、全体の奉仕者としての役割も歪められ、職場破壊がすすみ、子どもの貧困化に対応できない実態があります。職場をむしばむ職員基本条例の廃止を市民と一緒にすすめようと報告しました。

子どもの貧困対策に真剣に取り組む大阪市に

講演では、大阪の子ども・ワースト指標が示されました。子育て世帯貧困率、児童虐待、小中学生の不登校、小中高校暴力行為発生数が全国ワースト1～2と推移し、増え続けています。大阪市では、朝食、昼食を毎日は食べられない子どもが約2割にも達しており、親の非正規化率の増加が、子どもの貧困率を高めています。大阪の経済悪化が大きく影響しています。ある自治体で学校給食無償化、医療費の無料化や、保育料の減免、子ども食堂への支援、ひとり親家庭支援など、子どもの貧困対策を正面に置いて取り組むことで、子育て家庭のゆとりが生まれ、子どもがイライラしなくなる。また、子育て世代が増え、人口も増加している実例が示されました。

大阪市は、そうした対策を軽視し、万博・IR計画に巨額の税金をインフラ投資するとしているが、大阪をさらに貧乏にする危険なカジノ・万博を中止し、子どもの貧困対策に真剣に取り組むべきと指摘されました。

人員不足、予算削減と民間委託がすすむ子どもに関わる現場

講演内容を受けて、現場からの報告が行われました。

• 児童相談所では職員は少し増えていますが、増え続ける相談事案に対応できるだけの職員が配置されず、超勤が青天井の状態です。虐待と貧困は結びついており、日常的なサポートが必要です。業務量に見合った増員がもとめられます。
• 公立保育所では民営化がすすみ、地域の子育ての核となる役割が果たせなくなっています。中学校区毎での地域のサポート団体や子ども食堂等、こどもに関わる団体との意見交換も困難になっています。
• 生活保護職場ではケースワーカー不足により、ひとり親家庭のていねいな支援ができない。不登校のこどもが多く、高校以降で留年や中退している場合もあり、大人になり社会に適応できるかが心配です。
• 市立高校の現場からは、都市計画もなく高層マンションが市の中心部に建設され小学校の教室が足りなくなっています。それを解消するために歴史・伝統のある市立高校3校を統廃合し、小学校にするといいます。その場しのぎの無謀な計画であり、地域の学習権を奪うものと批判しました。
• 特別支援学校からは、府に移管され実習教員の減員、学校給食の民営化、図書の整備費用の約8割減額、また、光熱水費が抑えられ2学期の水泳指導がなくなったこと、管理作業員の民営化もすすみ契約以外の雑務は教員がしなければならず、子どもを犠牲にした教育になっていることが報告されました。維新のいう二重行政は、教育予算を削減するものと報告されました。

全体の奉仕者として働きがいのある職場を

集会のまとめでは、維新市政のもと安倍内閣の先取りとして、職員に忖度を求めるための機構づくりがすすむなか、職員は一部の奉仕者ではなく全体の奉仕者として、市民の暮らし・安全を守るために働くことを望んでいるとしました。そして、忖度を求める土台となる職員基本条例や労使関係条例の廃止の取り組みをすすめ、憲法が生きる市役所づくりに奮闘しようと呼びかけました。

「子どもの貧困と自治体施策を考える」集会を開催しました　～第3回現場実態を告発する学習・報告会（市労組連主催）～

【 大阪市労組　第477号-2018年5月30日号より 】