都構想で大阪市は消滅…税収と権限は大阪府へ
大阪市をなくして4つの特別区に分割する都構想の設計図が法定協議会で議論されています。来年の秋から冬にかけて2度目の住民投票を行うことが報道されています。しかし、2015年5月に都構想の賛否を問う住民投票で決着済みです。当時の橋下市長は「2度目の住民投票はありません」と訴えていました。ところが都構想が再燃されています。
前回の住民投票後に京都大学の藤井教授が行った調査があります。大阪市が消滅するのではなく、政令都市のまま残り特別区に再編されると誤った理解をしていた市民が過半数を超えていました。大阪市は消滅するのですから、政令都市ではなくなります。4つの特別区という基礎自治体に分割されます。市民には正しい情報が必要です。
固定資産税と法人市民税の職員は身分が大阪府に移管
大阪市が消滅すると、固定資産税と法人市民税は特別区の税収ではなく大阪府のものになります。固定資産税と法人市民税の職員の身分も大阪府に移管されます。その税収の一部が特別区に再配分される仕組みです。大阪市会の財政総務委員会が9月に東京都千代田区に行政視察に行きました。担当者は「固定資産税や法人市民税を3000億円持っていかれて、東京都からくるのは30億円。特別区などやめて千代田市になりたいくらい」と語ったことが報告されています。
特別区になっても大阪府は府のまま
都構想が実現すると、大阪府は大阪都に格上げされると勘違いしている市民が少なくありません。特別区になっても大阪府の地名は大阪府のままです。大阪府〇〇区となるだけです。府県の名称を変更するには国会での議決が必要です。こんな事さえあまり知られていません。
都市計画の権限がなくなる
税収だけでなく権限もなくなります。たとえば地下鉄中央線の夢洲への延伸は、政令都市だから大阪市の権限で可能です。都市計画について政令都市は都道府県と同じ権限を持っているからです。しかし特別区は都市計画の権限がありません。そのため道路や鉄道の開発も大阪府の権限になります。特別区では用途地域の変更やマスタープラン(都市計画)の策定もできません。まさに半人前の自治体に成り下がります。しかし、ほとんどの市民が知っていません。
都構想は、その中身を知れば知るほど問題点が見えてきます。まずは、市民に正しい情報を知らせていくことこそが求められています。
都構想で大阪市は消滅…税収と権限は大阪府へ
【 大阪市労組 第494号-2019年10月25日号より 】
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