市民・職員にとってデメリットしかない都構想!
11/1(日)に大阪市を廃止して4つの特別区をつくる、いわゆる「大阪都構想」の是非を問う住民投票が実施されます。私たち市労組はこの間、この構想の問題点を指摘し「市民にとって何のメリットもない」と訴えてきましたが、もし特別区が設置されれば、現在大阪市で働く職員はいったいどうなってしまうのでしょうか。
別紙の図1を見ると、現在の大阪市の職員数約35300人のうち、特別区等約15800人、大阪府に約19500人が移管されます。市長部局等でいえば、2024年12月31日に配属されている所属の所管している特別区にそのまま配属となるようで、基本的に1度その特別区に配属されれば、特別区間の異動はありません。東京23区では一部事務組合がまとめて採用を行い各区に配属されますが、大阪の場合はそれぞれの特別区での採用になるようで、労働条件もそれぞれの特別区で異なってくる可能性があります。労働条件に差が出来れば新規採用者が来ない区が出てくるなどの問題が出かねません。
東京特別区は特別区制度をやめたがっている!
特別区ができれば財政はどうなるのでしょう。図2を見ると現在の大阪市は「法人市民税・固定資産税」などを大阪市税として大阪市民が納付しています。特別区になれば、それらの税金は大阪府に吸い上げられてしまいます。その後、大阪府が財政調整交付金という名目で各特別区に配分するという形になりますが、どう配分されるかは大阪府議会で決定します。
つまり、特別区は大阪府からおこづかい(財政調整交付金)をもらわなければ、まったく財政を成り立たすことができず、大阪府の従属団体となってしまいます。これでは、いったい何のために特別区を作る必要があるのでしょうか。東京の23区はすでにこれらのことが行われおり、23区は東京都に税金を吸い上げられているので以前からこの特別区制度をやめたがっています。なぜ今大阪市がそのような制度を作ろうとしているのか理解に苦しみます。
都市を格下げするための制度!
自治体が一般市から中核市、中核市から政令指定都市に「格上げ」するときには住民投票は行われません。格上げするのに住民が反対することは想定されていないからです。では、今回大阪市がなぜ住民投票を行うかといえば、この住民投票は大阪市を「政令指定都市」↓「特別区」に格下げする制度なので、当然反対の意見がでますが、住民投票を行って賛成多数となれば「格下げ」することを住民が決定(承認)したことになり、特別区になった後、色んな不都合(住民サービスの低下)が起こっても、住民投票で賛成した住民のせいにできるからです。また大阪府下の他都市にとっても他人事ではありません。もし、この都構想が実現すれば、大阪市に隣接する市は住民投票を行うことなく、その自治体の議会が承認すれば特別区になってしまい、「一般市」↓「特別区」に格下げすることが住民投票をしなくても決まってしまいます。
世界的に見ても異常な政策!
今回の都構想は大都市である大阪市を解体する行為です。このコロナ禍のときに、世界を見渡しても自分たちの誇りある都市を解体しようとしているのは類を見ないでしょう。世界的に有名な都市、例えばニューヨーク、ロンドン、パリなどの都市を解体するとそこの首長が提案すれば、大反発が起こることでしょう。自分たちが住んでいる都市、働いている都市に誇りを持ち、そして「住んでよかった大阪市」「働いてよかった大阪市」として、今ある政令指定都市の権限を生かして、もっとより良い都市を目指していくことこそが今求められています。
市民・職員にとってデメリットしかない都構想!
【 大阪市労組 第503号-2020年10月号より 】
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