8区総合区案は住民投票の結果を無視するもの
大阪市民が再び「大阪市廃止に反対」を選択しましたがその直後です。松井市長と吉村知事は、「広域一元化条例案」と「88区総合区案」を来年22月議会に提出することを表明しました。これは22回の住民投票で市民が悩み抜いて下した判断を無視した暴論です。
「広域行政一元化案」は、会見で「大阪市の権限のうち、成長戦略に関するものを大阪府に委託し、財源も移す」としています。そもそも府県は、「第一に市町村や府県を超えた広域的な自治を発展させること」「第二に市町村やコミュニティなどの狭域的な自治を守る」という、二重の役割があります。地方自治法に市町村が行う成長戦略の権限と財源を府県が奪い取ることができる規定はありません。このような民意も法律も無視することは許されません。
総合区は議会だけで導入が可能
8区総合区案」は、24区を8区に合区することを前提に総合区に移行する案です。総合区は、2014年に創設された新しい制度です。総合区長は、区のまちづくり推進などで現在よりも権限が拡大されます。しかし総合区長は公選制ではなく一般職員から市長が任命します。一方、リコールの対象にもなり、住民の力でやめさせることが出来ます。導入するにあたって住民投票は必要ありません。市議会だけで決めることができます。
総合区のデメリット
総合区長は市長の指揮、監督下におかれ、立法権限、財政権限が認められるわけでもありません。様々な工夫が許される程度です。デメリットは、行政コストの増大が懸念されます。総合区導入に伴って合区が必要だとすると、住民に身近な行政サービスを担う役所がかえって遠くなります。
合区は、区の数を減らして区の規模を大きくすることです。合区と総合区はもともと関係がありません。合区は総合区の条件ではないにも関わらず、今回の「8区総合区案」は、最初から「合区ありき」です。総合区庁舎の建設や、衆議院の小選挙区割りなど課題は山積みです。合区を前提とした制度改革は、住民自治を無視しています。
24行政区のまま人員・権限の強化
総合区そのものは、否定や反対をするべきではありません。現行の24行政区をそのまま総合区にすることも検討に値します。住民サービスの向上のためには、人員を増加することが必要です。わざわざ総合区を導入しなくても、今の行政区のまま人員と権限を強化することも可能です。「広域一元化条例」「8区総合区案」を2月に議会に提案させない運動を市民とともに進めていきましょう。
8区総合区案は住民投票の結果を無視するもの
【 大阪市労組 第504号-2020年12 月号より 】
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