人事院勧告 物価上昇にも満たない引上げ 921円0.23% 勧告
人事院が8月8日、3年ぶりとなる俸給表改定と一時金を引き上げる勧告を行いました。春闘期からの労働者・労働組合の賃上げを求めるたたかいの結果と言えますが、その額はこの間の物価上昇分にも満たず、生活改善につながらない不満のある内容です。
初任給引上げ、本俸改定は若年層のみ
月例給について民間給与が国家公務員の給与を平均921円(0.23%)上回っているとして引き上げを勧告したものの、その配分については、①民間の初任給の動向を踏まえ、大卒初任給3000円、高卒初任給4000円の引上げ、②初任給の引上げを踏まえ、20歳代半ばを重点に、30歳代半ばまでの職員が在職する号俸について改定するとしています。一方で較差の配分を30代半ばまでにしたことは、高齢層職員の経験や知識を正当に評価せず、生活実態を無視した不当な勧告です。
一時金は勤勉手当に上乗せ、成績主義強化は許されない
一時金については、年間支給月数が民間企業を0.11月下回るとして、0.10月(再任用職員は0.05月)を勤勉手当で引き上げる、しかも上乗せする分の一部を原資として成績上位区分にさらに上乗せすることを勧告しました。一時金の生活補給金としての性格を無視し、成績主義をさらに強化し差別と分断を広げるものとして到底容認できるものではありません。
会計年度任用職員との格差拡大を放置するな
引下げ時は期末手当から、引上げ時は勤勉手当に回すことが続いています。市労組は正規職員と会計年度任用職員との格差は広がる一方であることを強く指摘し解消を求めてきました。市労組は引き上げ分について、すべての職員等しく引き上げることを求めるとともに、会計年度任用職員について期末・勤勉手当に見合った一時金の支給を求める法改正を強く要求するものです。
「給与制度のアップデート」のまやかし
勧告では、社会や公務の変化に対応できるよう「給与制度をアップデート」し、能率的で活力ある公務組織の実現に向けてとりくむとしています。その中身は65歳定年を見据えた60歳前・60歳超の給与カーブ、定年前再任用等をめぐる状況を踏まえた給与、社会や公務の変化に応じた諸手当の見直し等をあげています。これらは「給与制度のアップデート」どころか、生涯賃金改悪につながるものであり、絶対に許してはなりません。
長時間労働の解消は喫緊の課題
勤務環境の整備について、長時間労働の是正は人材確保の観点からも喫緊の課題として、業務削減やデジタル化等による一層の合理化、フレックスタイム制度の柔軟化やテレワークへの新たな手当の検討があげられています。これは極限まで人員が削減された中、現場では様々な対策が取られているにもかかわらず長時間労働が増大している現場実態をみないものです。市労組は長時間労働の削減には、定員拡大と時間外上限規制の厳格な運用、賃金・労働条件を改善し公務労働の魅力を高めることを並行して行っていくことが必要と考えています。
人事委員会は職員の奮闘に報いる勧告を
大阪市人事委員会には、コロナ禍で懸命に奮闘を続けている職員に応える賃金引上げ、長時間・過密労働解消に実効あるものとするための必要な人員確保、会計年度任用職員等の雇用の安定や処遇改善を勧告することを求めます。市労組はそれらの実現に向け奮闘するものです。
人事院勧告 物価上昇にも満たない引上げ 921円0.23% 勧告
【 大阪市労組 第517号-2022年8月号より 】
| 固定リンク
コメント