生活改善には遠い2023年人事院勧告
8月7日、人事院が2年連続となる俸給表プラス改定と一時金引上げの勧告を行いました。しかし、引上げ内容については、物価上昇率や春闘での民間の引上げ額にも遠く及ばない改定率であり、到底生活改善につながらないことは明らかです。
低すぎる引上げ額
月例給については、平均3869円(0.96%)若年層に重点をおきながらも、俸給表全体の引き上げを勧告しました。また、初任給は大卒11000円、高卒12000円の引上げとしましたが、民間初任給に比べれば依然と低い水準のままです。
最低賃金は今年、全国平均の目安が1002円となりましたが、改定後の高卒初任給の時給は992円で最低賃金を下回る状況は解消されていません。公務員には最低賃金は適用されないから問題ないではすまされません。
非常勤職員の給与改定は常勤職員に準じて行うべき
非常勤職員の給与改定について、常勤職員との均衡をより一層確保することを目的として、今年「非常勤職員の給与に関する指針」が改定されました。常勤職員の給与が改定された場合は、非常勤職員の給与についても常勤職員に準じて改定するよう努める旨が追加されています。大阪市は昨年、正規は4月遡及しましたが、非正規は遡及しませんでした。大阪市人事委員会勧告でプラス改定が示された時は、大阪市は指針の趣旨に準じて確実に実行されることを求めます。
一時金の引上げは期末・勤勉に等分に配分
勧告は、一時金について、0.10月(再任用職員は0.05月)を期末・勤勉手当で等分に引き上げるとしました。近年、引上げ時は勤勉手当、引下げ時は期末手当からということが続けられてきましたが、等分に引上げを勧告したことは一定の評価ができるものです。しかし、生活補給金として一時金の性格を考慮すれば、期末手当に重点を移していくべきです。
地方自治体では、会計年度任用職員には勤勉手当が支給されません。2024年度から勤勉手当支給が可能となる法改正が行われましたが、今年度については現行法のままであり、会計年度任用職員の一時金引上げが期末手当分のみとなることはあってはなりません。
市労組は大阪市人事委員会・大阪市当局に対して、引上げ分勧告となった場合、すべての職員について等しく引き上げることを求め、会計年度任用職員の一時金引上げについては、昨年同様、期末手当での引き上げることを求めていきます。
2023年 人事院勧告・報告の内容
- 官民較差は0.96% 3869円
- 高卒初任給12000円、大卒初任給11000円引き上げ
- 一時金0.10月引き上げ(期末手当及び勤勉手当ともに0.05月引き上げ)
- 若年層に重点を置いて俸給表を引き上げ改定(平均改定率1級5.2%、2級2.8%)
- 在宅勤務手当の新設(月額3000円)
- 非常勤職員の給与改定の取扱いについて、常勤の取扱いに準じた改定に努めるよう指導
- 「給与のアップデート」を含む基本的な考え方ととりくみを示す
(市労組作成)
大阪市人事委員会は物価高騰を上回る勧告を
例年9月下旬に大阪市人事委員会勧告が出されますが、市労組は大阪市人事委員会に対し、人事院勧告の水準にとどまることなく、物価高騰を上回る賃金・一時金の引上げ、コロナ危機の下で奮闘する職員に報いる賃金・一時金の引上げを行うよう強く求めるものです。
生活改善には遠い2023年人事院勧告
【 大阪市労組 第528号-2023年8月号より 】
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