昨年に続く月例給・一時金の引き上げ…しかし生活改善には不十分な人事院勧告
8月8日、人事院勧告が出されました。月例給は官民較差が11183円(2.76%)と昨年を上回%)る引き上げ、一時金も昨年に続く引き上げが勧告されましたが、物価高騰が続く中、生活改善には不十分な内容になっています。
月例給引上げは約30年ぶりの高水準
給与に関する勧告では、「給与制度のアップデート」を先取りし、月例給、初任給ともに大幅な引上げとなりました。これは春闘を起点にして、公務労働者と民間労働者が共同のたたかいをすすめてきたことの結果です。しかし引上げ額は、厚生労働省の「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」が示す5.33%と比較しても見劣りするもので、高騰を続ける物価高による生活悪化を改善させるには極めて不十分です。また住民の安全・安心を守るために奮闘してきた公務労働者の要求に応えていません。
中高年層にも等しく引き上げを
月例給引上げは、若年層に重点をおくことが続けられてきました。今回も概ね30歳代後半までの青年層に重点を置くとされました。しかし、物価高騰のもとで中高年層も等しく負担がのしかかっています。このような措置は中高年層の知識や経験、職場での役割を正しく評価しないものです。全ての職員に等しく引上げの効果を与えるべきです。
また、一時金についても再任用職員の支給月数は一般職員の5割程度で、引上げ月数も半分ということについても大きな問題です。一般職と同様の支給月数にするべきです。
労働基本権制約の代償
措置機関を放棄した人事院
「給与制度のアップデート(社会と公務の変化に応じた給与制度の整備)」の措置内容が示されました。その中身は、本府省課長補佐級の俸給最低水準の引上げ、本府省課室長級の職責重視の俸給体系への見直し、勤勉手当の成績率の上限引上げなど、成績主義強化による一部成績優秀者の処遇を手厚くする一方で、地方や現場で汗する公務労働者の賃金・労働条件を抑制しようとするものです。公務労働者を「全体の奉仕者」から「一部に奉仕する」公務労働者へと変質させるものであり許さるものではありません。
また、「給与制度のアップデート」は労働条件の大きな変更であるにもかかわらず、人事院は労働組合との真摯な協議を放棄しました。人事院がもはや労働基本権制約の代償機関となり得ていないことは明白です。速やかな労働基本権回復を求めてかなければなりません。
秋のたたかいに立ち上がり、大幅引き上げを勝ち取ろう
「公務員人事管理に関する報告」では、超過勤務の縮減や勤務間のインターバル確保などについて触れられていますが、実効性のある具体策は示していません。また、非常勤職員について、両立支援等に係る制度についてわずかな言及にとどまっています。非常勤職員の切実な要求である、同一労働同一賃金、病気休暇をはじめとした無給となっている休暇の有給化は喫緊の課題です。
市労組は、大阪市人事委員会に対し、人事院勧告の水準にとどまることなく、全職員の物価高騰を上回る賃金・一時金の引上げ、深刻な職員の欠員と長時間労働を解消するためには処遇改善は待ったなしの課題と認識した勧告を求め9月2日に要請行動にとりくみます。
市労組は、長時間・過密労働解消に実効あるものとするための必要な人員確保、会計年度任用職員等の雇用の安定や処遇改善を求め、市民のいのちとくらしを守る人員増と体制強化を直ちに行うよう強く要求するとともに、その実現に向け今年の秋の闘いに奮闘します。
昨年に続く月例給・一時金の引き上げ…しかし生活改善には不十分な人事院勧告
【 大阪市労組 第539号-2024年8月号より 】
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