建築物の「指定確認検査機関」の問題点
平成14年4月16日付、住宅分会ニュースの記事を紹介します。
労働組合として『安全で住みやすいまちづくり』をめざす立場から、要員や働きやすい職場づくりを中心に、他都市の動きと法改正後3年間の検証をふまえつつ、短中期的見解をまとめました。
確認・検査業務が急速に民間機関に流れている このことによる問題と課題
1.民間が90%以上確認・検査業務を行うようになると、行政側の業務はほとんど計画通知(官庁関係の建築申請で構造体力の審査は不要)になる恐れがあり、大阪市内で唯一建築物の『建築基準法に基づく構造耐力の審査、検査及び指導』を行う専門家集団である構造強度係は存亡の危機となる。建築物の安全性を中心とする質の確保にとって構造耐力の指導は根本課題であり、大阪市に一定の構造専門の職員を確保しつつ技術力の継承発展も図る必要がある。
また、審査・検査職員も申請件数が減った分に応じて減員の恐れがある。建築関係法令に基づく審査・検査業務は『高度な専門知識』が求められており、単純に一人当たり何件というやり方で人減らしするのでなく、関係職員を一定数確保し技術力を継承発展させるとともに、建築主事を継続的に育成する基盤を確保する必要がある。大阪市として主体的にこのように位置づけを明確にすることが、今きわめて大事である。そうでなければ民間機関のチェック機能を自ら投げ捨てることになろう。
2.民間機関の確認・検査のチェック体制の確保が必要です。既に大阪でも確認ミスがあり、また他都市でも民間機関の確認ミスあるいは条例違反、道路をめぐるトラブルが発生している。この場合、法的には特定行政庁(大阪市)は取り消し処分ができるのであるが、明確な体制・部署がない。早急に対応すべき時期にきている。
前記の問題提起から4年が経過した現在、まさに、心配したとおりになっています。
二度と姉歯構造偽造問題が起こらないようにするには、国は指定確認検査機関の制度を廃止し、確認申請業務を行政機関に戻すことです。建築主事及び職員の数を増すなど執行体制を強化し、質の向上を計るとともに、国民の安全に責任を持てる体制をつくるべきです。
建築物の「指定確認検査機関」の問題点 【 大阪市労組 第334号-2006年2月1日号より 】 |
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